久しぶりのデスク製作

何年ぶりだろうか、デスクを作るのは楽しい。アンプを内蔵するデスクを作ったり、以前は良くデスクを作ったものです。当時は高価で入手しにくい、バング&オルフセンのIce Powerアンプのカードを内蔵するデスクで、開発していたネットワークプレーヤーも内蔵させてました。まだネットワークプレーヤーという名称はなく、PCオーデイオとか呼んでいて、一般的ではなく、展示会でもほぼ理解されなかった。「これ最高!」と思っていたんですが、高価でよく内容が分からないデスクは、結局売れなかった。天板は、美しい板を販売するアトリエ木馬さんとコラボし、高松の庵治石を脚に使ったことで、より高価になり、もうあのようなデスクは二度と作れないな。Ice Powerもネットワークオーデイオも、シャーシに組み込んで、表からは見えない、理想のデスクでした。でも本当は、アンプやプレーヤーを眺めるのが嬉しいんですね。少し先走りすぎていたなあ。

以前デザインしたデスクは、アンプとネットワークプレーヤーを補強チャンネルに内蔵。天板に取り付けたコントローラはネットワークオーデイオとアンプ用。選曲はiPadで。床奥の小さな箱はクリーン電源と出力端子です。

今回のデスクは、真空管アンプのためのデスク。もしかしたらターンテーブルも載せるので、高い剛性が欲しい。真鶴半島で採れる小松石から作った脚があるので、それを使うことにします。小松石の表面は赤く、砕石場を引きずった傷がランダムに入った表面を美しく感じ、その板に貫通穴を開けてガッチリ重さを石で受け止める仕様。天板には、ストックしておいたメープル厚板の、表情豊かな部分を選び、3枚貼り合わせた無垢板を製作。真空管アンプが主役なので、デスクは裏方。分かってはいるのだが、派手すぎるデスクになってしまった。

昔、私のデザインスタジオには大学の後輩が何人かいて、その中に彫刻作家の高山君がいました。彼は、後の表現の幅を広げてくれた影響力ある人です。大学院の彫刻科の学生は、小松石採掘場からの援助を得て、ここの石から作品を彫ることも多く、実は自分も仕事で1トンもある石のブロックを数個使って、展示台などをデザインしていました。小松石は、表情豊かで面白い石です。庵治石ほど硬くないので、彫刻しやすいのかも。そんな流れで、以前、小松石でデスク用の脚を作っていました。

小松石の脚は片側が30Kg弱ほどあり、50mm厚のメープル天板も重く、デスクとしては重量級です。石とメープルで共振周波数が違うので共振を抑制できる機能もあります。ターンテーブルには良さそうです。
普通オーデイオラックは、何台かアンプなどをスタックさせますが、今回は机としても使えるようなデザインにします。天板に穴やダメージが多いので、薄い紙に文字を書く時は不自由ですが、PCを乗せるなら問題なし。マウスは穴を避けて使うようになります。天板の裏表で、表情がずいぶん変わるので、気分も変えられるかもです。幅は1M弱で奥行き55cmは小さなデスクになります。でも、ターンテーブルも余裕を持って載せられます。

オーデイオは、どうしても機器に目が行きますが、実際には部屋で音が決まります。分かっていても自由にならない。自分は、居場所の雰囲気がとても気になります。オーデイオ然とした立派な機器に、なぜか心が揺り動かされ難いです。最近は、高価な装置も多く、縁がないということもありますが。なので、機器だけ良くてもな、という感じもあり、どうしても、部屋のデザインの一部としてオーデイオを考えてしまいます。オーディオが威張っている部屋は、どうも居心地が悪い。