Klangfilm オイロダインはレーシングカー

 

 

 

 

 

オイロダイン / オイロパ / デュオフォン

 

随分久しぶりにオイロダインを聴かせていただきました。到着した時には、すでに元気よく歌っていましたが、以前の記憶より大きな広がりを感じて独特な世界観に一瞬で吸い込まれました。
どの楽器を聴いても、下から上まで失う音やあやふやな感じがなく、完全と思える音の再現性はアンプとのマッチングも完璧なのでしょう。そしてこのスピード感は、レーシングそのもの。空気を切り裂いて音が飛んでくる感じがします。いつも慣れ親しんでいるヴィンテージのライトウエイト・スポーツではありません。まさにサーキットを走るためのレーシングカーそのもの。その構造を見ても、鉄の角棒で組み上げたシャーシに搭載されるウーファーとドライバー、そしてネットワーク。どれを見ても飾り気ないレーシング仕様。励磁のための配線まで、なぜかハイテンションコードに見えてしまいます。機能美。

 

 

左右がオイロダイン、前期の励磁タイプです。センターのスピーカーはデュオフォンでモノラルを楽しませていただきました。ジーメンスの22Gと同じデザインのユニットがデュオで並んで音響レンズの後ろに設置されています。こちらはアルニコ仕様です。

オイロダインは目指したい音ではありますが、レーシングカーで公道を走れないのと同じで、オイロダインを味わうには相応の環境が必要です。まさにサーキットのような環境が必要になります。ですので、私には目指すこともままならない向こう側の別世界だと納得させられてしまいます。しかし、スポーツカーはレーシーな雰囲気を好みます。キャブレータをレーシング寄りにしたり、時にはエンジンをチューニングしたり、レースエンジンに載せ替えたりもします。いつだったか友人のレーシングカーに公道で乗せてもらいました。信号を三つ通過するころには、血液がシート側に集まって、どうも自分で運転するクルマに酔ってしまったようです。即座にクルマを止めて運転席から降りたことを思い出します。この後、自分のヒーレー・スプライトのステアリングをクラシックでレーシーな雰囲気のモノと交換しました。このくらいが良い塩梅です。

 

 

 

 

 

オイロダインの鉄骨シャーシがレーシングカーを思い起こさせます。人気があるのはアルニコの方だそうです。それにしてもスパルタンなオイロダインが3ペアもあります。まさに異空間。これはコロナ前に撮影しました。

 

いつも聴いているスピーカーたちは、多くがスポーツカーです。私の狭い環境でも鋭いコーナリングをしてくれます。昔、ラジオに入っていたようなスピーカーたち。これらは日常使いで、いつも快適な環境を演出してくれて生活に潤いをくれます。しかし、いくつかはレーシングな個体もあります。レッドニップルまたはブルーフレームやL6などは、かなりレーシングよりなのでサーキットを走りたがりますし、そうでないと力が発揮できません。初めからレース仕様なんですね。映画館ほどでなくても広い空間を求めてきます。私の部屋では文句が出るわけですし、コチラはうまく運転できないと不平不満も出るわけで、レーシング味のスピーカーを、街乗りスポーツにしようともがいたことを思い出します。もちろん失敗し断念。


  圧巻のオイロパ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の写真は、すべてiPhoneで撮影。機動力と空気感が良いカメラです。

 

今回は、オイロダインとは別にオイロパなるスピーカーも聴くことができました。オイロダインだけでも異次元なのですが、オイロパまで・・・・。サイズはオイロダインの倍以上でしょうか。平面バッフルのサイズだと、さらに大きくなり、もう壁と言っても良いサイズです。こちらは、オイロダインよりまろやかで空気に音楽をブレンドしてくれる感じがします。とはいえ、これも広い空間で深く音を浸透させるためのマシンであることは、オイロダインと共通の仕様です。
このオイロパ、隣の部屋で聴いていても、なぜかステレオで音が聞こえてくるのが不思議でなりませんでした。オイロパに背を向けて間には通路の空間があるので、ステレオで聞こえてくるとは思えないのですが。

これまで、レーシングだのスポーツだのと、スピーカーを区別することなく聴いてきましたし、作ってもきました。しかし、この部分を切り分けて考えないと、いろいろ判断が怪しくなります。この二つを混ぜないで分けて考えることで諸問題がスッキリします。そして迷いも解消に向かいます。iPhoneのShazamで検索しても、何も出てこない曲ばかりの二日間でした。演奏者が曲に載せる想いやエネルギーを再現できるオーディオを前にして、奥の深さに目眩を覚えました。しかし、オイロダインもオイロパも、デュオフォンであっても、常に緊張を強いられます。真剣勝負になってしまいますので、軽い気持ちで聴けないのが唯一の欠点か・・・。

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