愛用の万年筆にインクを入れる作業は、最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、慣れると、これもまた万年筆を使う楽しみの内になってきます。だからこそ、インクの瓶は各メーカーが意匠を凝らして作っているのですが、万年筆がどこまでインクに浸かっているかが見にくいデザインのものが多く、またうっかり倒してしまったらという緊張感もあり、楽しみばかりではありません。

DDのインクサーバーは、広い開口部でインクに浸るペン先を見ながら確実にインクを吸引できます。

使用時には、まず、お気に入りのインクを付属のスポイトでサーバーに移します。この時、サーバーにインクをあふれさせないように注意してください。インクは多くても、七分目程度まで入れるのが良いでしょう。そして、蓋をしておきます。使用時には、蓋の上に万年筆の軸やキャップを置けるようになっています。また細いスリットはメモや吸取り紙を挟むのに便利です。インクサーバーの底は斜めに細くなっていますので、インクの量が少なくなってもスムーズに吸引できるようにデザインされています。

caution蓋の密閉性は高くありませんので、インクの長期保管には適しておりません。1週間から2か月分程度のインクを入れてご使用ください。

ガラス部分にはソーダガラスを使い、ひとつ一つガラス作家による手作業で丁寧に製作しています。1300度で溶けたガラスを、炉から取り出し石膏の型に重さを量りながら投入します。ゆっくりと時間をかけながらガラスを型に馴染ませるために、3日間かけて温度をコントロールしながら、徐々に冷却させます。石膏の型を壊して冷えたガラスを取り出したら、研磨して所定のサイズに仕上げていきます。ガラスには、製作途中で若干の気泡を残しています。その偶然が産み出す風情と、あえて組成違いのガラスを混ぜることで生まれる屈折のカオスは、同じものが二つとない、御手元の製品だけのものです。

スタンダードモデルの蓋はウォールナットとメープルの組合わせになっています。その製作は、良い木材探しから始まり、十分乾燥させた木を高い精度で加工しています。二種類の材料は間に芯を入れて接着。その後、メモなどを差し込むためのスリットを入れ、刻印でロゴの凹みをつけます。あとは磨きとワックス仕上げを行う事で美しい模様が姿を現してくれます。天然木を使うため、木目や色は一つづつ違います。その色や模様の個性をお楽しみください。スタンダードモデルの他に、希少な銘木を使用した蓋をオプションでご用意しています。