ごく普通にステレオでヴィンテージスピーカーを楽しんでいます。しかし、まれにセンターが少しズレるユニットがあります。頭の位置を動かしてセンターを探したり、気がつくと、探し当てたセンターで頭を動かさずに聴いていたり、拘束されるとどうも肩がこります。ズレが少なければ、左右の音量で調整することもできますが。
仕事デスクの左前にあるデスクから、よくステレオで音楽を流しています。目の前には壁のようなデイスプレーが二台並んでいて、位置的にステレオはダメですが、それでも音楽は十分楽しめ、そして仕事も進みます。
別々のラジオで鳴っていたユニットを、ステレオとして鳴らす時、左右をバランスさせるのは同じユニットであっても、うまく行かないこともあります。世界大戦直後のユニットは、その確率が高いです。大好きなフィリップスのユニットは、センターで定位させるため結局4本入手して、その中の2本がペアになりました。残りの2本はペアになりませんでした。でも、このペアにならない二本、モノラルなら活かせます。音良いですからね。
大好きなカフェ「あがりだん」では、いつも音楽をモノラルで流しています。でね、これが、なかなか良くて不足を感じません。早速、片チャンネルだけで聴き始めました。それはそれで良いのですが、たまに聞こえ方が変な音源に出くわします。音が鳴って無い感じがしたり・・・とか。音が左右に動くような楽曲もイケません。それで、いつも「あがりだん」をご一緒していただいている、エンジニアの山野さんにトランジスタ無帰還アンプのモノラル化を相談してみました。山野さん、このアンプの構造を熟知していらっしゃるので安心です。
山野さんのお話では、「可能そうなのでトライしてみます」。ということでしたので、チャッカリお願いすることにしました。その間に、モノラルを楽しむための箱作りになったわけです。数話前の13cmのための箱が、実はモノラルのためでした。
待つこと二週間ほどで、トランジスタ無帰還モノラルアンプが完成しました。山野さんに話をして良かったです。実は、この改造は難しいと言われていましたので、山野さんの能力高いなあと感心です。
改造は、起動スイッチが3接点のシーソータイプに変更され、倒す方向でモノラルとステレオが切り替わります。中立が電源オフです。これ非常にウマイですね。スイッチ追加なしで行けるのでシャーシに変更が要りません。ステレオとモノラルでは、パイロットランプの色が変わり、目で確認ができます。少し先にこのアンプを何台か製造しようと考えていますので、非常に朗報です。モノラル出力では、左右の端子から同じ音が流れます。スピーカー二台で、そのままモノラルにすると両側から同じ音が出て、これはコレで音に厚さが出てアリな感じです。ですが、初めはスピーカーを一台にして聴き始めます。
で、早速お試しなんですが、アンプ一台 / スピーカー一台の組み合わせが、なかなか格好が良いんです。そして仕事中に聴こえてくる音楽も、過不足なくこれで良いなあという感じで、違和感なく仕事場に馴染めます。13cmサイズでも低域を感じます。押しが強すぎず、優しい空気感に部屋を変えてくれます。出来の良い真空管アンプと同等音のこの無帰還トランジスタ・アンプは、モノラルでも飽きが来ない音質です。
遠い昔、ドイツ黒い森の近くにある大衆的なカフェで、ランチタイムにいつもラジオから流れているのはベルリンフィルの演奏。それは時に練習風景だったり。たった一台のラジオからの音で、しかしカフェのBGMはその音だけで充分。ドイツの音楽を楽しむ日常ですが、奥が深い。ベルリンフィルは、今やお金を払えば、好きな時に聴けるネット番組がありますが、このラジオ番組は伝統なんですね。日常的に流れるクラシック音楽。この話は、最初にSABAユニットを譲っていただいた方から聞いた話です。ジーメンスの大会議室で会議をする時、片隅に置いてある平面バッフルに気が付き、見たらジーメンスのヴィンテージユニットがそこにあった、という話でした。ポルシェやアウデイの開発会議室での話です。
話は戻り、一台のスピーカーでも物足りなさやプア感もなく、満足感があります。ちなみに。スピーカーとの距離は3Mほどで、真正面で聴いています。ヴィンテージスピーカー特有の輪郭がキチッとした音質が強く感じる場合には、少し厚めの布を通して聴くと、マイルドになりBGMに最適な感じに変化するようです。今はその設定でモノラルを楽しんでいます。不安な高域の不足感もあまり感じられず、ただ角が取れて優しくなる感じです。音量は少し減少しますので、若干ボリュームを上げています。何より定位感からの解放は嬉しいかも。
いつも見ていたいヴィンテージスピーカーなんですが、ユニットの前に布を入れると、急に箱を主張し始めます。アンプもスピーカーも立方体にしているからか、デザインにまとまり感が出ます。この二つを作ったのは時期的にはだいぶ離れていますが、偶然にアンプの塗装色とブラックMDFの色がかなり近く、別々な感じがなく、布のオレンジも似合います。ステレオとモノラルを選択できる無帰還アンプは、MoStと名前をつけることにしました。





