1950年代 東ドイツ製
SABAに感激し、ドイツ製のヴィンテージスピーカーに興味を持ちましたが、次に興味を抱いたのは、東ドイツのRFTです。ぶ厚いドイツ軍のコートを連想させるコーンに惹かれてポチッ。
RFTは、東ドイツに残留したSimensやTelefunkenのエンジニアを集め、国営協会という形で音響機器メーカーが集合した組織だそうで、会社名ではないそうです。
詳しくは、http://geo80002002.livedoor.blog/archives/25417651.html をご覧ください。
ずいぶん暗いオーラを放つL2153は、樹脂成形のシャーシを持つフェライトのダブルコーンです。同じシャーシを持つL2053という機種はアルニコ・マグネット仕様ですが、わたしはフェライトの方に魅力を感じます。
この樹脂シャーシは、インジェクション成形ではなく、ベークライト製のようです。ABS素材ができた頃の樹脂成形ですが、当時の東ドイツではABSが入手できたかどうか分かりません。大昔の黒い電話機のような質感です。ベークライトは、たい焼きのような成形をするんですね。光の加減でマゼンタ色が少し見える時があるベークライト樹脂シャーシは、何本も補強リブがあるのに、ずいぶんな厚さです。樹脂の強度が低かったんでしょう。しかし、樹脂のシャーシはコーンの前面で磁界による影響がなくなるので、音には良いでしょう。MarkAudioの樹脂シャーシも、あの良い音に大きく貢献しているはずです。
オーディオ師匠相島さんは、アルミのシャーシフランジ面に4箇所スリットを入れておられました。フロントで発生する磁界をなくすことで、音が改善するそうです。実に大胆な加工をしちゃいました。
裏面のシールは、ペアでも二台でまったく違う色ですが、元は同じもののようです。よく見ると1957年6月13日と読取ることができるプリントが入っています。製造日か出荷日か? 二台とも同じなので、ずいぶん違う環境で長期間別々にすごし、ステレオとして最近になってペアを組んだように見えます。小さく入っているfwと読めるロゴマークは洗練されたバウハウス的なデザインです。ロック金具を逃げる、逆三角の抜き窓も効果的。ソ連の影が見えるRFTですが、このへんにはドイツが見えてきます。このユニットは1960年以前の、RFTゴールデンエージ最終時期のデザインでしょうか。この後は金属プレスのシャーシへと変化するようです。
軍の装備にも見えたコーンですが、とてもデリケートです。湿度や温度に敏感です。写真ではコーンが折れた感じがしますが、これが変化するんです。湿度が低いと見えなくなったりもします。サブコーンは厚い紙製で、これがさらに重厚な感じを出しています。少しコーンとは色相違いで、その色合いがなんだか格好が良いのです。センターにあるメッシュ穴も気持ち良い高音が聴こえてきそうです。SABAのように錦糸線を金属の受けで取り付けると、もしかするとコーンに更なる変形が生じるのかもしれません。そんなスピーカーを見たことがあります。片方のユニットには、なにか数字に見えるスタンプがあります。が、残念ながら意味は不明です。
こんないかつい男系スピーカーですが。分厚い軍のコートから、軍隊らしからぬ、なんとも人間的な暖かさが伝わってきます。
ウワォ!黒バニーのAriana Grande様が コケテイッシュな声で、生声で歌いながら出てきちゃった・・・という感じです。