Sansui woofer W-153

             made in Japan

一目惚れでした。見られるために作られたようなSansui woofer W-153。最初に見た時はヨーロッパのユニットかと思いました。イギリス製をイメージしましたが、made in Japanでした。
このユニットのカラーリングにやられたのです。ヨーロッパの鉄道のような色合いが素敵です。8吋のユニットですが、そのコーンには9色の色が使われています。Goodmans Tri Axiomを思い出します。ゴールドをベースに微妙な色合いですが、コチラの山水ユニットの方が上手かな。Tri Axiomは、レストアしてみようと入手しましたが、そのままお蔵入りしています。山水ユニットの彩度が低い茶系の色は、私の平面バッフルにピッタリなんですが、思うように低域を出せないでいます。バスレフで音を作る時代のユニットかと想像します。毎日眺めたいのに残念だなあ。

このユニット、同じサイズで45W仕様があるようです。私のは、7.8Ω・10Wと表示されています。十分なスペックです。小さな部屋では、かえって使いやすいですね。このユニットは、フェライトを使っています。バスレフ箱を作り、Sachsenwerk  13cmあたりと組み合わせるのが良いのかな。

色使いが伝わると良いのですが。実は、二枚目のアップ撮影からデジタルバックを交換しています。いつも使用しているLeafが調子を崩しました。もう一台のLeafに交換しましたが、若干色空間が違う感じです。フィルムだったら気がつかないかも。デジタルは繊細です。
ここからは想像です。9色の色違いは、コーン紙製造時に裏側に少し重い素材を同心円状に追加しているのかもしれません。外側に向かってコーンを重たくしている訳です。その材質の差が表面を透過して色の違いになって見えている?? 裏側から目視できないので、そんな想像をしてしまいます。単に色を変化させることは考えにくいので、何か音に関する構造があることは間違いないかと思われます。同心円状にキルティングが入ったようにも見えますが、段差はありますが同じ紙質が連続して、決して縫い目ではありません。この段差で剛性が得られます。非常に良い質感です。分割振動対策とも考えられます。
裏側から観察すると、途中から何か別の素材が塗布されていますが、あるいはこの部分二度塗りか。この塗布がなければ構造が見えるのですが。ウーファー仕様ですので、コーンにかかるストレスも大きいのでしょう。特に45Wではかなりのストレスでしょうから、補強的な塗布なのでしょう。手の混んだ作業ですが、これまで真っ二つに破れたコーンを幾度となく見ています。
三枚目の写真は、ユニットのバック方向からライトを入れています。コーンの薄い部分は光が透過しますが、厚くなると光は通しません。センターに近い部分は光りを透過していますが、外側・低域部分は透過がありませんので、補強塗布もありますが、ここは間違い無く厚いのでしょう。
エッジは透明性が高い素材で光を透過しています。とにかく非常に手間をかけた製造プロセスを行なっています。丁寧な設計からは、山水のこだわりが見えてきます。でも、日本製でよく見られるシャーシの質感は、なんとかならなかったのかと思います。あまりに似つかわしくない。せめて塗装して欲しかったなあ。まあ普通は見えないのでね。仕方ないか。

このユニットは、表からヨークは見えません。巨大なセンターキャップ?が取り付けられています。防塵には良いでしょうが、ボビン内の空気の動きが心配だなと思いました。ですが、そこは山水、コーンの裏側に小さな穴が数ヶ所空いていて、エアダンパー化を回避してます。この穴が無いと、ヴォイスコイルの動きを阻害しますね。このルックス、これウーファーなので、このセンターキャップ?が、広域カットを行なっているのかもしれません。あるいは調整している。これで上手くいけば、ネットワークの製作が楽になるかもです。下を切るより、上を切る方が厄介です。このまま何もせずツイーターと繋がれば上手い具合です。デザインと両立させていて、秀逸な設計だなあと思います。でもウーファーとしての音域を出す部分って、結構外側に狭いんだなあ。逆に高域が出るエリアって広いですね。

スピーカーの裏側は、いたって普通に見えますが、見る人が見ればコーン紙の裏側に重大なヒントがあるのかも。

私の家では二匹のねこが存在感を出しまくりです。片方は長毛種の薄いグレー系の色なんですが、このねこ様の毛の量が凄まじく、あらゆる場所やモノに毛が付着します。喪服は悲惨です。このユニットのエッジにも毛が張り付いていて撮影の際掃除しましたが、エアー吹いても簡単には取れませんでした。エッジにはビスコロイドではないんでしょうが、ベタつきがある素材が塗り込んであります。結果、毛が生えたスピーカーのように見えますので、掃除することに。しかし頑強に掃除を拒む白い毛は、エッジにまだ少しだけ残っています。随分ピンセットで取りましたが、ここまでの根気しかありませんでした。