Telefunken Ela 6 Red Nipple

       1950年代前半 西ドイツ製

どうしても欲しいと思ったユニットがありました。あるところで見てからの念願でした。そのある所というのは、オイロダインが置いてある憧れの場所でした。自分の所では、入手したてのTelefunken後期L6を使っていて、何か低域が物足りなく感じていました。そのことを話したところ、「それならBlue Frameが良いでしょう。」というお答えで、その場で見せていただきました。格好も良かったですね。青くペイントされたフレームなど見たこともありませんでした。それからは、毎日欠かさずeBayを見るようにして探していました。まあ、そう簡単に見つかるモノでもなかろうと、長期戦を覚悟していましたが、なんとヤフオクにポッと登場しました。良いお値段でしたが、これを逃したらこの先入手は難しいかもと思い、即決で購入しました。値段は忘れました。後期L6を購入した後で、同時期にSiemens 6Ruf 15dなども衝動買いしてましたので、懐の寒さと引き換えに物欲を満足させた感じです。脳裏を道楽なんて言うフレーズが浮かんだりして、反省しきり。

早速、平面バッフルに取り付けて聴くことに。まだアンプをヴィンテージユニット用にチューンする前の時です。低域が気持ち良いアルバムをかけてみましたが、期待通りではなく、やはりもう少し低域が欲しい感じで正直ガッカリでした。このユニットでサブ・ウーファーはナイよな、が正直な感想。でも二種類持っているサブ・ウーファーと繋げてみました。

このRed Nipple、能率が非常に高いです。これが業務仕様と言うことなんでしょうか。サブ・ウーファーとバランスが取れず、どうもイケません。サブ・ウーファーが目覚める前にRed Nippleが大きな声で歌い出し低域を補完してくれません。能率のバランスは大切です。後期L6よりは良いのですが、低域期待値が高すぎたのか・・・満足行きません。ヤフオク高かったのになあ、と後悔しても遅かりし。でも諦めきれず、奥さんが不在の時に、いつもより音量を上げてみました。
・・・ウン・・・なんだか良い感じです。サブ・ウーファーは要りません。そうかこのユニットを使う場所って「ホール」だったり「スタジオ」だよな・・・・実は低域が良い感じになる音量は、自分の部屋ではチト大き過ぎ。日常聴きながら仕事ができる音量ではありません。要は広いスペースが必要なんです。完全に飽和状態になってしまいます。ユニットの使用目的と場の関係は実に大事なんですね。どんな場所かが、出せる音の決め手になる様です。

Red Nippleから非常に大切なこと勉強しました。性能を引き出すには、相応の場が必要ということです。冷静になって考えれば当然のことなんですが、目の前に美味しいご馳走が並ぶと、負けます。絶対に負けてしまう。この後、さらにマズイ事に、Rullitに出会うんです。ですので、このRed Nippleはちゃんと活かせないまま惰眠の世界入りました。撮影のために引っ張り出して聴きましたが、素性が実に良いです。でもRulltの方が部屋にはフィットします。なんとかRed Nippleを活かしたい。

このコーンは、Philipsの様に何か獣の毛が混入しているような感じがします。大音量に備え強度が必要だったのでしょう。硬めの繊維が見えます。Siemens 6Ruf 15d の質感とはずいぶん違います。音も当然変わります。Red Nippleには、Siemens 6Ruf 15dとは違う説得力と別の美しさの魅力があります。6Ruf 15dもデザイン非常に良いんでけどね。
Red Nippleを調べていくと、ずいぶん色々なバリエーションがあり、NT3搭載のモデルも多い様です。私が入手したのは標準的なタイプかもしれません。そして年齢に応じて、どれも随分色が褪せている感じです。自分としては、この位の方が馴染みます。でもヤレた感じはありません。まだ前期高齢者です。
いつものことですがスペックに関しては書きません。スペック通りの音を出すためには相応の環境が重要で、音の感想も、そこの場ではね、という事になるので参考にはなりません。評価できる環境と聴き分けられる良い耳が整っていれば、測定結果も役に立ちますが、ドコでも同じ音が出せる訳でもなし。ですからデザインから見た印象を写真と共に記す事にしています。

やはりRed Nippleは、重複しますがデザインが秀逸です。マグネシウムの薄いフレームになった後期L6と、全く違う世界観があります。RedNippleのフレームはガッシリ高剛性でアルミでしょうか。しかも3点固定になっています。高剛性ゆえ3点でも歪みが出ないのでしょう。前にも書きましたが後期L6は工業製品臭が強いんですが、Red Nippleはブルーのフレームからして大量生産の工業製品を感じさせません。何か有機的な感じがします。ダンパー周辺のドーナツ円盤状板金など、他では見かけないデザインでこの板金色とRed Nippleが同系の赤で、実に格好が良いのです。力の入れ方が後期モデルと大違いです。この円盤がマグネットをガッシリ固定しているように見えます。Red Nippleなんて呼ばれて、これをデザインした人はどう思っているでしょう。案外喜んでいるかも。

Red Nippleは、ちょうど当方の後期L6と同じDEWマグネットなので、二つを比較してみることにします。エンブレムが同じデザインですが、typeはRed Nippleが「Ela 6」で後期モデルも「Ela L6]となっていて、次の行のNr.は「1262」と新旧全く同じ表記になっています。個体識別番号ではないですね。後期にはTELEFUNKENのロゴが無く、ベースの質感がずいぶんモダンです。どっちも良いな。しかし後期L6のセンターキャップはフェルトの円形型抜きで、赤くてもニップルでは無いですね。漂う雰囲気は、全く別のスピーカーです。

オイロダインを聴かせていただいたクラングクンストのサイトに、Red Nippleのスペックが出ております。非常に参考になる試聴レポートもあり、正しい評価はこちらが大変参考になると思います。
クラングクンスト主幹の小林師匠にBlue Flameをお勧めいただきました。

https://www.klang.jp/index.php?f=&&ci=10213&&i=10223