Rullit Lab8用の電源が入手できましたので、通常行うべき儀式をしようと思います。最近まで動いていたスピーカーですので、バーンインは不必要と思われますが、別の旧い励磁式のユニットが増える可能性もあり、やり方をメモとして残そうと思います。いろいろなやり方があると思いますが、励磁の先輩、信頼している原さんにサポートをお願いしてスタートを切ります。原さんは、今はケミカルの開発をされています。
電源は、元のRullitオーナー「廃人」様から譲り受けましたので、これも問題はありません。松定プレシジョン製の直流安定化電源P4K-80Mです。非常に小型軽量で、以前見た励磁電源の中で最小です。最高110Vまで直流を発生します。デザインも良いしスペックもRullit Lab8に、余裕を持ってマッチします。さすがに電源のことまで熟知されています。他に保護機能もあり、万が一電源をボイスコイルに接続しても、電圧・電流をカットしてくれる安心設計です。新品の定価は9万円ほどで、私は二台必要と考えていましたが、1台でペアを駆動できるので非常にありがたい。Rullit Lab8の励磁コイルは現代のモノなのでペアで安定してますからね。
原さんからは、ヴィンテージ・スピーカーでは左右でユニットの状態が変わる場合が多く、ペアであっても左右で電圧のかけ方が違う場合も多々あるということをお聞きしました。ヴィンテージ・スピーカーの時代はモノラルでしたからね。また、違うメーカー製のラジオから取り出したペアという可能性もあります。厳密にするなら、原さんの言葉通り、電源を二台用意するのが良いでしょう。納得です。
さっそく直流安定化電源の作動を確認した上で、スピーカーまでの配線を行います。励磁電源への配線を間違って入れないよう注意を受けています。少し緊張。今回は、電気屋さんで普通に売られている赤白の電源ケーブルにU字圧着端子をつけて準備完了。まず、1Vの電圧で1時間経ったら2Vに。さらに1時間で5V/10V/20Vと1時間ごとに電圧を上げて行く予定でしたが、1Vでは電流が上がらず、2Vからのスタートになりました。CV-定電圧モードで、電流は安定化電源側で自動的に決めてくれます。60V120mAを上限にして、音源を繋ぎます。ときどきコイルに触れて発熱を監視し、熱くなったり異臭が発生したらその場で通電を停止してコイルを点検します。仕様的には120Vが上限です。
しかし、コイルに巻いた紙は、何なのでしょう。魚の絵が入ってます。マス?。とても良い感じ。Ruliit氏は、釣りが趣味だったのかな? もしかすると自分のことを語るメッセージなのかも。非常に薄いフェノリック・スパイダーは、4箇所でボルト固定。この薄さ、非常にセンシティブに見えますね。
電源とスピーカーの接続は、こんな具合です。今回使用する電源では、U字圧着端子だと電源にペア二本分の線が接続しやすくお薦めです。U字金具のサイズはコイル電源と音源側で違うので、Rullit Lab8は安全性にも考慮が行き届いています。音源入力側の接続は、ちゃんと接続した方が良いのですが、ユニット交換しますので、今回もワニ口クリップを使用。ユニットの音源端子には短いケーブルを取り付け、それをワニ口でくわえます。直接ワニ口で咥えるのは、サイズ的に具合が悪い感じです。励磁スピーカーの中には、ラジオから取り外したものなど、電源ターミナルが無い場合が多く、この場合はワニ口クリップが使いやすいです。しかし、意外に危険な接続なので注意が必要です。端子台を作った方が安心ですね。
そろそろ夕方になってきました。かれこれ8時間ほどエージングを行いましたので、予定通り60V/120mAの設定で音楽を流してみます。・・・圧巻の音。音が出て、すぐにこれまで聴いてきたスピーカーと異次元なのが分かりました。ヴォーカルを聴き始めて、じつは原さんと顔を見合いました。予想外の音質だったからです。原さん曰く、数百万円のスピーカーの音ですね、と。そして、滅多に聴ける音ではありません、とも。わたしも同意見です。聴いて感動した感情を文章にできないのが残念です。これが励磁の持ち味なのか、それともRullit が特別なのか見当がつきません。とにかく、音ではなくて、感情を持った音楽が流れてきます。続きは、次のRullitブログで書きますが、文字でどこまで表現できるか・・・あやしい感じです。
これまで、エンジンをオーバーホールしたクルマのバーンインは何台も行ってきました。耳をこらしながらだんだん回転数を上げていくのは、たのしい行程でした。ジャガーXJ6エンジンのバーンインで九州までフェリーを使ってクルマを送り、それを東京までゆっくり運転して軽くバーンインしたことは今でも思い出として残っています。息子を初めて飛行機に乗せ、一緒に宮崎まで飛んだ昔の思い出。
この曲で、原さんと顔を見合ってしまいました。美しいアルバムです。
Something / Keiko Lee sings THE BEATLES