新デザインとして試作を開始して何年になるだろうか、2024年に経過レポートしてから、もう二年かかってしまいました。その間基本的なデザインは同じですが、電源を左右で分けたり、トランジスタを色々試したり、トランスをサイズアップしたりと、仕様を変えてきました。最後は熱対策を行い、基板の取り付け方などを改善し、空気の流れを誘導したりしています。表面的には大きな変化はありませんが、中は進化し完成度が上がりました。今は毎日使用して使い勝手などを観察していますが、そろそろ完成レベルに達しました。そこで、少しこのアンプをレポートしようと思います。


この無帰還フォノアンプAG4はニアフィールド用で、出力より音質を重視しています。そのため当方では、このアンプをリファレンスアンプとして使用。最初は、無帰還マッチング・アンプとしてヴィンテージスピーカーにフィットさせる目的でしたが、フォノ機能の追加で大きく進化しました。毎日レコードが聴けるのは、大きな生活の変化ですし、やはり楽しい。それでもフォノ以外に3台のプレーヤーが選べるのは、使い勝手良好です。
無垢木材の外観 金属製筐体が普通のアンプですが、無垢木材を使った外観がこのアンプの大きな魅力です。一時は積層材を考えましたが、やはり無垢材にこだわり数年を費やしてしまいました。今回の2号機は栃を使い、入り皮による割れのダメージとスポルテッドが美しい無垢材を使用しています。無垢材の裏側を掘り込み、その空間に基板やトランスなどを格納します。熱対策が大きな問題でしたが、一日稼働させて、無垢材が暖かくなるくらいの発熱で動作します。あるとき魅了されてしまう木と出会い、そこからAG4の製作が始まります。大きな木でも一部しか使えなかったり、思い描くような木材は少なく、よき出会いをいつも探しています。今後もダイナミックな素材や美しい模様などを活かした無垢木材天板が、AG4アンプのスタイルです。
4つのRCA端子 4端子配備のおかげで、日課のようにRCAケーブルを交換することがなくなりました。それでもオープンリールを聴きたくなった時などは、RCAケーブルを差し替えることもあります。いつもならアンプを動かし後側にアクセスして交換するのですが、このアンプでは正面から差し替えが行えます、とにかく、コレがとても使いやすい。RCAが4系統もあれば、充分そうですが、オープンリールのほかにiPhone、それにDATなどを気まぐれで聴きたくなりますから、この機能を重宝に使っています。
無帰還であること 帰還することでアンプ出力をさらに大きくできますが、ニアフィールドを楽しむなら数ワットもあれば充分です。AG4は出力より音質を追求した無帰還フォノアンプです。出力は最大6Wです。電源により、さらに大きな出力も可能ですが、オイロダインであってもこの6Wで大音量を悠々と鳴らすことができました。KlangFilmの純正アンプより若干優しい響きです。
無帰還であることで、スムーズで聴きやすい音質になり、一日中音楽を楽しむことができます。iPhone音源でもスムーズさは変わりません。音源の情報量を減らさないのがAG4の美点で、ふと音楽の中にオーデイオの存在を感じることもありません。音楽の情報量が減ると、硬くキツイ音になり長時間の視聴が辛くなります。無垢材の外観と無帰還がAG4のスタイルです。出来の良い真空管アンプを聴く感覚でAG4をお楽しみいただけます。歪みの無さでリファレンスとしてのご使用がお勧めです。
2つの音質 ヴィンテージ・スピーカー用と、現代のユニット用と二つの音質を切り替えられます。ヴィンテージ・モードでは、平面バッフルの低域不足を補ない、モダン・モードでは、ストレートに音源を流すことで、より活きの良い音質が楽しめます。ヴィンテージスピーカーを美味しく味わうための必須アイテムです。普段自分が使っているヴィンテージスピーカーをいかに気持ちよく味わえるかにフォーカスしています。もちろん、現代のスピーカーでも音楽に没頭できることでしょう。
フォノアンプであること RCAのLINE 1をフォノ専用にすることで音楽の楽しみ方が増えました。これまで無かったアース端子も追加し、いつでもレコードを楽しめます。昇圧トランスの追加でMCカートリッジも楽しめます。標準はMM対応です。レコード盤の儀式も楽しいものです。
トランジスタの使用 必要最低個数のトランジスタをディスクリートで使用して無帰還アンプにしています。開発では実際のスピーカーを入れて、測定器だけでなく耳で音質を確認しながら、これを進めます。一般的には負帰還を戻し、しかもスピーカーを使わず固定抵抗で信号を測定しアンプを開発します。これが音質に悪影響を及ぼしています。AG4はそれをせず無帰還にこだわります。これが良い音作りには不可欠な要素です。ノイズの無いアンプが完成しました。
ディスプレー 4つのRCAは左からLINE1、LINE2、LINE3、LINE4とディスプレーに表示されます。ディスプレーは、暗めの環境で眩しくないように照度を設定しています。ヘッドフォンを選択した時のみ、Headphone表示がディスプレー右端にブルーで浮かび上がります。この時、LINE1から4までに接続されているプレーヤーからの音を、任意にヘッドフォンで聴くことができます。プレーヤーの表現の違いをヘッドフォンでも楽しむことができます。
サイズ LP盤のジャケットよりわずかに小さいサイズです。重量は6.7kgほどですが、使用する無垢板により重さは変わります。正方形にすると、少し見た目のバランスがスポイルされるので、奥行きを短くしています。
外部電源 電源を筐体に入れないことで、LPジャケットサイズに収まりました。信頼あるACアダプタか安定化電源装置から電力を供給します。デフォルトではACアダプタを使用します。
30年以上前から、森を彷徨いその姿を撮影しています。最初はフィルムで、最近はデジタルで。カメラはHasselblad。10年ほど前ニューヨークと国内の数カ所で個展をやった。人生の一つの目標。それを始めるきっかけは、美大生だった頃ある雨の日に入った明治神宮。そこで太い樹を撮影し魅了された。それはさらに大昔の話で、撮影したのは、やはりHasselbladだった。そして今回のブログのために写真を撮影したのもHasselblad。50年前のボデイーでもデジタル化できるのが、その完成度の高さを物語る。考えてみれば、Hasselbladと樹はいつも人生の中心にいた。今は森ではなく木材にこだわっているが、不思議だが、どちらも人生の一部のようだ。
木が放つオーラに魅了され、色々作ってきました。そして辿り着いたのがヴィンテージスピーカーとアンプです。アンプでは、パネルに板材や突板を使うケースもありますが、その使い方では、製品のアピールはできますが、木の魅力を発揮するまでは行きつきません。
AG4 無帰還フォノアンプは、良い音質のリファレンスアンプですが、木のオーラを生活の身近に置いて、ヴィンテージスピーカーやその周辺の遊びを楽しんでいただけるよう、ご希望ある方に販売させていただこうと考えています。
まず表現力のある無垢木材との出会いがスタートですので、数多く製作することは難しいのが現状ですが、私の木との出会いと喜びを、同じように楽しんでいただけたらと思います。



