Rullit Lab8を味わう #2

 励磁コイルの裏側にある銘板

Rullitを三人で聴きながら、その日は素粒子の話まで飛び出してきました。もう何度もオープン・バッフルでヴィンテージ・スピーカーの音を聴いている服部木工師匠が、いつもと全然違う音が出てると言いながら入ってこられました。一瞬で違いが分かったそうです。そして気持ち良いですとも。別のみなさんもRullitの音を気持ち良いと表現されます。この2週間で8人の方に聴いていただいていますが、全員気持ち良さを語ります。症例は少ないですが、今のところ100%の反応です。
素粒子の話は、素粒子は塊ではなく自由に動いているということでしたが、その揺れ方は変化するんだそうです。受け売りすると。人を構成する素粒子は、喜ぶと揺れが大きくなるんだとか。幸せを感じると、素粒子もシンクロして揺れが大きくなるという訳です。良い音を聴くだけで、気持ちよくなることもあります。この時ヒトの素粒子も音に同期して揺れるのだとしたら、Rullitは人の素粒子を揺らす能力があるということにならないだろうか。もしかすると、Rullitは人の素粒子を直接ゆり動かして、それが脳を気持ちよくさせる。ということも考えられるんではないか、と妄想。そして、それができるスピーカーを、ずっと探していたのかなと、思いあたるわけです。

これまで何台ものヴィンテージ・スピーカーを集めてきました。コレクター気質が強いので、そうなることは分かっていましたが、唯一無二のユニットに出会えていませんでした。これはどうなんだろう、世間の評判だとさらに良いかも・・という気持ちが、ストック数を押し上げていました。キリがないことです。スピーカーの種類は、無尽蔵にあります。きっと、その中には、これで満足というユニットもあるでしょう。しかし、それに出会うのは、難易度がとても高いでしょうし、なかなかその様なヴィンテージ・ユニットが市場に簡単に出てくるとは考えにくい。もし遭遇しても、これまでは天文学的価格が、スピーカーに近づくのを阻んできました。そしてあてないスピーカー荒野の彷徨が続きます。

TESLA製のトゥイータは現在使用していません。能率が低くどうも効果を発揮できないでいます。

昔、ハッセルブラッドは、カメラ荒野を彷徨うことを終わらせてくれました。中判との出会いはハッセルが4台目で、前の3台は、大学の写真研究室や知人からマミヤやブロニカを借してもらい使っていました。そして直球でハッセルに到達しました。完成されたカメラシステムです。愛用のニコンもそうです。他の35mmカメラを使うことで、自分にフィットするカメラだと解りました。寄り道したLeicaは何台使ってもなじみません。M5とM9は少し心を開いてくれましたが、わたしはレンジファインダーを使うのが下手ということでしょう。車も乗り換える気持ちを起こさせない車種に、何台か遭遇しました。いろいろな事情で、お金に換えて仕事のために消費したこともあります。これら、すべて良い機能と、素晴らしいデザインを持ち合わせていました。存在するオーラや使い勝手、そして修理して使い続けられることも重要です。Rullit Lab8もヴィンテージ・スピーカーをベースに現代になって励磁コイルやスパイダー、そして鹿革エッジ等を新調し、生まれ変わっています。
Rullit Lab8は、スピーカー荒野の彷徨いを一旦終わらせてくれました。

planar80mm・ハッセルブラッドの標準レンズは、もう35年間働いてくれています。風変わりなアオリができるFlexBodyはハッセルの傑作でしょう。これがないと撮影ができなくなります。このブログの画像の多くはこれを使用しています。ハッセルから離れることができない理由です。25年ほどお付き合いしています。後ろに付いているデジタルバックはLeafです。1700万画素しかありませんが等身大のポスターでもイケます。これはあまり使用していない、もしもの時のためのサブのデジタルバックです。以前、海外ロケで3Mの高さからハッセルが床に落下し、レンズもボディーもデジタルバックも一瞬ですべてお亡くなりになったことがありました。幸いサブのデジタルバックで撮影を続行。悲しい思い出。

先日お訪ねいただいた、元NHK音楽ディレクターの矢島さんは、カラヤンと会った時に、指揮棒の動きより一瞬早く低域の楽器が演奏を始めると気持ち良い演奏になると、話をされたそうです。カラヤンは気持ち良さと低域の密な関係を、話されていたと思います。もちろんタイミングの話も重要です。矢島さん、お会いすると、いつも低域の話をされます。
Rullitの気持ちよさも、低域の出方にあると考えています。カラヤンが言うように、一瞬先に低域を出すことはできませんが、それでも豊かで解像度が高い低域の貢献度が非常に大きいです。普通でしたら、サブウーファーを加えて音を作り出します。じゃ、ソレで良いじゃん、なんですが、一本のスピーカーから出してしまうことに意味があります。何も足せないし、何も引くことができない、これが本当のフルレンジです。そして励磁ならではのクリアで繊細な音質とオープン・バッフルにフィットする性格。他では、なかなか得られません。

と、ここまで書いて突如、直流電源装置が起動しなくなりました。思いもかけない故障でした。ここで気がつきましたが、そうなんですね電源がないと、ちゃんとした音が出せないんですね。当たり前ですが、これが唯一の弱点でしょうか。壊れた電源は、15年前の製品ということでメーカー修理はしてもらえませんでした。同じ製品の新品は8万円ほどと高価なので、急遽アマゾンで同じような仕様の電源を購入。1万円ほどでした。危ないかなと思いながらも、一応動作確認して接続。メイド・イン・ジャパンということ、これ、なかなか難しいなあ。今、開発に参加しているある装置も、欲しい部品に国産が無くなっています。国産が見つかっても、それで製造しては高くて売れない。下手すると中国製の10倍以上の部品価格になります。国としての大きな問題。いろいろなことと絡んできます。

そんな重たいことを忘れさせてくれるのが、Nulbarich / H.O.Tです。Apple Musicで出会いました。普段耳にすることがなかったヒップホップ。思わずCDを購入。この1年、Apple Musicは色々な音楽を教えてくれました。時代は変わりました。この方は日本人なんですね。Rullit Lab8は、こんなアルバムも得意です。心に届いてくる曲、いつもの音。音楽ってよいな・・・・