TESLA 2AN 633 50 8inch

 1950年代に旧チェコスロバキア製造

気になるメーカーがありました。Klang Filmでも使われていたユニットを製造するチェコスロバキアの国営大規模企業TESLAです。TESLAはチェコの電子機器製造を独占・製造していたようです。
このユニットは、eBayを探して購入しました。

KlangFilm仕様では、ARO538と呼ばれる業務用の高品質な機種ですが、わたしの購入は2AN63350です。たまに目にする、どこどかの劇場で使われていた、というフレーズ。真偽のほどは分かりませんが、 信じることにして購入。KlangFilmと同仕様ということです。そういえば、トヨタiQを、アストンマーチン社が独自のチューニングを行い、アストンのブラントで販売した高級マイクロカー/シグネットがありました。友人松本さんが乗るこのクルマ、向こうから走って来ると立派にアストン・オーラを放出しています。乗ってもアストン! なんだかTESLAとの共通点が多い感じがします。
しかし、すごい色をペイントしちゃいました。さらに銘板はマゼンタ色のスタンプ。これには参りました。 ARO538だとアルニコ・マグネットのカバーとダンパー固定部がプレス製のシルバーで、銘板はシールです。 2ANとまったく同じ格好で、シールだけAROというのもあるようですが、ああ、コチラのシルバーキャップの方が良いなと後悔。でも、ほとんど見かけません。こんなバリエーションって欧州だからなのかな。2ANは、この派手な色以外にグレ ーなどもあるようですが、こちらも、あまり見かけません。
このスピーカーも後ろ姿にとても魅力があります。やはり、マイナスネジが雰囲気満点。剛性を得るため円形窓の周囲が三次元的な形状になっていて、なんだかそそられます。ヨークを兼ねた?マグネットカバー以外は、ゆるい三次元的なカーブの連続形状で高剛性なシャーシです。良い音がしそうな予感がします。
なぜかジュール・ヴェルヌの潜水艦を思い出します。



振動板は外周にリングを設け、プレスでかしめて固定しています。コーン紙を外して修理ということになると これはチト大変な作業になりそうです。しかし製造組み立ては楽でしょう。修理のことを考えなければね。 かしめ固定ですが、ユニット取り付け穴が3箇所に設けてあります。これはありがたい。
多くのユニットは取付けフランジ部分に、フェルトやコルクなどのガスケットが付属しますが、2ANにはそれがありません。凸形状のプレスラインが入っているだけです。振動板のサイズも普通より若干小さくて、少し大き目サイズのSABA用サブバッフルの開口径に、ピッタリサイズで凸形状が収まるので、まるで誂えたような感じです。もしかして、この凸形状、プレスでかしめる時に精度よく位置を決めるのに使用したのかも。だとしたら一石二鳥ですね。この部分にフェルトがなくてデザインもよりシャープな感じです。なんだか好きです。

同じ2AN 633でも後ろの50が03になると、ずいぶん様子が変わってきます。蜘蛛の巣のようなプレスラインが入る黄色の振動板は、なんだかソ連を感じてしまいますし、シャーシも違うデザインで無塗装。なんとフェノリック ・スパイダー仕様です。良い音がしそうな雰囲気ですが、まったく違う世界観です。
この個体だけかもしれませんが、コーン紙は薄く塗装してあるようにも見えます。リセールのためか?  コルゲートダンパーとボイスコイルキャップは、同色でマッチング。意外に塗装色と違和感ないのが不思議。 正面と後ろ姿で、二重人格を感じさせてくれます。音はKlangFilmゆずりですけど、TESLA製。これも二重人格。 少しマイルドな感じの色で撮影しちゃいました。気持ち優先カラーです。プラハやドボルザークとか、少し重たい感じがする東欧チェコ製で、なぜかTESLAは欧州でも抜きん出た存在感があります。 このユニット、眺めているだけで異国に飛んでいける感じです。 なんたって、このカラーありきです。・・・正面からは見えませんが。
紅茶入れながら、JAZZを流し、いつまでも見とれていられます。
このユニットは、どちらかと言えば家庭用ではなく、スタジオや劇場などで使用されるプロ用の機材に分類されるユニットですから浸透力が強く、しかしメロウで優しい感じがします。また、意外な小音量から低域を表現してくれます。家庭用としても使いやすく優秀なユニットだと思います。ずっと友人でいられそうです。

レトロな風貌でも現代音楽が似合う

以前、小田急沿線に仕事場があった時ですが、マンションの前の部屋にFM人気局のナビゲーターの方がお住まいでした。 毎日FMから流れている彼の声と日常会話するのは、なにか不思議な感じでした。そんな彼から、たまにデモCDをいただいてました。デモなので販売はできませんということで、まだほとんどストックしてあります。そのなかに一十三十一さんの「感触」という傑作アルバムが入っていました。リファレンスとして、 いつも聴いているアルバムになりました。オープン・バッフルのTESLA、なんだかシックリきます。

能率:95dB以上、周波数帯:30Hz〜1400Hz、インピーダンス:5オーム、重量:1.5kg、サイズ:8inch